えんため語り部屋

舞台を中心としたエンタ-テイメントについて語っています

星組バウ公演「リラの壁の囚人たち」5月15日(土)14:30~

1988年に涼風真世さん主演で月組で上演された作品の再演です。
もちろん、初演は知りません。そういえば、スカイステージで初演の放送は無かったですね。
 
この作品、3月に観たカチャ主演のバウ作品「ジュ シャント」と設定が似ている箇所が
何個もありました。時代背景とパリが同じだからでしょうか。でもこちらの方が先なんですよね。
後からも語りますが、まずは冒頭がパリを離れていた主人公が何年か振りに戻ってくる。
そこから過去の話になって、最後はまた冒頭のシーンに戻るというのが同じですな。
セットが最初のパリの銃撃戦?を除いて、ずーっと同じでした。その場所から主人公は出られなくて、
なので、この作品の題名につながるのですね。
 
では、登場人物ごとに語ります。
 
エドワード・ランス(エド)/凰稀かなめ
エドはイギリスの情報部員で銃撃戦で怪我をして、ある袋小路の中庭にかくまってくれとやってくる。
怪我もしており、ドイツ軍の目も厳しい為、簡単にはパリを出られないだろうと、しばらく居候する
ことになる。そこでいろいろな出会いもあるが、早くここを出て活動したいという気持ちもあり・・・。
エドさんは、女の子にそんな台詞(君は可愛いだったかな?)を言ったら、そらその女の子は惚れるわなと
いう感じです。ポーラも指摘してましたし。優しいのも罪作りなんです!
1月に大劇場公演で観たときは、感じなかったのですが、今回は舞台の中心に立つ姿が、すごく
大きく見えました。存在感がありました。2年前のバウ公演「凍てついた明日」からは
成長しているなと感じました。やはり2番手を経験しているだけはあるなと思いました。
立場が人を育てるというのを感じました。
歌も以前より、上手くなっていると思います。
珍しく?オサさんに見えませんでした。以前のバウ公演でスーツを着ていたとき、オサさんっぽいのを
感じたのですが、今回は感じませんでした。
もっともっとスターオーラを出していってほしいです。
 
ポーラ・モラン/白華れみ
ポーラは袋小路の住人。父は地元の警官。戦争で車椅子生活になった婚約者がいる。その婚約者の
父が医師でポーラは看護婦をしている。
車椅子生活になった婚約者が変わってしまい、寂しい思いをしている中、エドがやってきて、彼の
人間性に惹かれていく。でもエドが自分の兄だと知り・・・。
れみちゃん、星組初出演ですが、違和感が無かったです。良かったです。
婚約者に自分の思いをぶつけるも、婚約者が中々、分かってくれなくて見ていて、応援したくなる
ポーラでした。
最後が「ジュ シャント」のヒロインと同じく、ドイツ人からピストルで撃たれて亡くなります。
 
ジョルジュ・ルビック/紅ゆずる
戦争に行く前からポーラとは婚約していて、戦争で怪我をして車椅子生活になり、人が変わってしまった。
周りに特にポーラにひどい暴言を吐く、嫌な奴。結局、周りに甘えていると感じました。ジョルジュの
気持ちも分からないではないが、前向きに生きていってほしい。
でも、最後、ポーラが撃たれた後、直ぐに持っていた拳銃で撃った相手を撃ち、それで、ジョルジュは
何発も銃弾を受けて、即死。台詞無し。ポーラは息絶えるときちょっと台詞があったのに。
このシーンの展開が速くて、ポーラが撃たれたのに気を取られていたらいつの間にかジョルジュも
撃たれて死んでいて、ジョルジュが死ぬ瞬間は見逃しました。でも、このシーンでポーラが撃たれた事に
腹を立てて相手を撃ったということはポーラのことを本当に愛していたのが分かって良かった。その前に
ジョルジュのソロで歌うシーンがあって、そこでポーラへの思いを歌っていたのかもしれないが、
歌詞をほとんど聞いていなかったのでポーラへの思いは私は良く分かっていなかったのです。
でも、ジョルジュには生きている間に、ポーラと和解してほしかったです。まあ、ポーラも自分の為に、
ジョルジュがやったことは知っているだろうし、あの世で昔の二人に戻れたと思っておこう。
紅さんは1幕最後の笑い声が気持ち悪かったです。一人だけ高笑いしていたのが。ジョルジュとしては、
それで正解なのかな?ポーラとエドが兄弟と知らされて、複雑な心境になっている二人に対して、
ちょっとジョルジュ、あんた空気を読みなさいよ!ってな感じでした。
あと今回の髪型は私にはイマイチに感じました。紅さんはもっとかっこいいはず。
でも紅さんをじっくり見るのはこれが初めてかも。演技は良かったと思います。
車椅子の操作が様になっていました。
 
マリー・フルージュ/音波みのり
キャバレー「パラディ」で働く女性。そこで、ドイツ人国防軍将校のギュンターに気に入られ、世話を
するという話になり、フランス人としてドイツ人の男に世話になることに悩む。エドに優しい言葉を
掛けられて彼を好きになるが、結局はギュンターの愛人になることを選ぶ。
マリーの設定も、「ジュ シャント」のヒロインと被りますね。
マリーのエドへの思いが切なかったです。そして、ギュンターの元へ行くのかどうか悩む姿も。
16年後、彼女だけが同じ場所にいるんですよね。ずっと独身のままだったのかしら?
音波さんは良かったです。
 
ギュンター・ハイマン/美弥るりか
ドイツ国防軍将校。マリーがお気に入りで、「パラディ」に配慮してくれる。連合軍がフランスに
やってきて、ドイツ軍が撤退する際に、マリーを元の袋小路に戻してくれる。その際に悲劇が
起こりました。一緒にやってきたハンスはそこの住人たちの中に怪しい奴がいると!騒ぎ立てますが、
このギュンターは、マリーがいる故に、騒ぎ立てないように配慮します。そこが良かった。あ、ギュンター
さんもマリーのことが本当に好きなのねと愛情を感じられたので。そこがあったのでギュンターを嫌いに
ならずに済んだ。結局、ギュンターの制止を振り切って、ハンスは暴走しちゃうのですが・・・。
この役は「ジュ シャント」で春風さんがやった役ともろ被りです。
みやるりちゃんは金髪でこの役に挑みました。でもドイツ人って金髪のイメージがあんまり無いな。
軍服姿がとっても似合っていてビジュアルはかっこ良かったです。まだ若手という感じがしていましたが、
このような大人の男もちゃんと演じられていたと思います。過去のカレーニンの経験が生きているのかな?
 
ジャン・ルナール/壱城あずさ
「パラディ」のウェイターでポーラに気がある。ポーラとエドの親密なところを見て、ジョルジュには
言わないから俺とつきあえ!とポーラを脅す。ドイツ軍に住人たちの見張りをするように言われてから
露骨に住人たちから嫌われる。
このジャンは見ていて、いつか何かをやらかさないかハラハラする役でしたが、結局、大したことは
しなかったので、良かった。まあ、悪い奴だったのですが、住人たちからの嫌われっぷりはちょっと
可哀想だった。そう思うのも、ジャンのビジュアルが良かったからですな。
壱城さんをじっくり見るのは初めてですが、良かったです。ファンから新公主演を望まれていたのも
分かる気がしました。
ちなみに舞台と関係ない話ですが、壱城さんをスカイステージの夢咲ねねちゃんの「Brilliant Dreams」で
見た際、写真で見ていたイメージと違うなあと思いました。何か、「漢」って感じました。これは最近、
スカステニュースの涼さんのディナーショーお稽古場情報の如月さんにも感じました。これが星組
男役って奴なのか?
 
その他の方たちはざっくばらんに。
重要な脇を占めるラルダの万里柚美さんレーモン・ルビックのにしき愛さんロジェ・モラン役の
美城れんさん
たちがちょっと弱いかなと思いました。悪くは無かったですけど、物足りない感じが
しました。この辺りの役を初演では現在、専科にいる方たちがされているんだよなあ。ある意味初演は
今から見ると、豪華? そんなに専科に行くような方たちが月組に集まっていたんだなあと思ったり。
話を戻して、他に家主マルセルの妻シモーヌモレッティ(毬乃ゆい)は、危険人物エドを袋小路に
住ませるのを反対したりで結構騒いでいたので、印象に残っています。旦那のマルセルは今回、退団
する本城くれはさん。
妻に敷かれている旦那でした。
エドと一緒にやってきたレジスタンスに天寿光希さんと麻央侑希さん。天寿さん、ビジュアルが意外と
良かったけど、テルや麻央さんと並ぶと背が低めになるのが惜しい。でも上手かった。私の中で花組
真瀬さんと非常にイメージが似ている。
ハンス・リヒター(直樹じゅん)も印象に残る役でした。ギュンターとどちらが立場が上なのか
よく分からなかったけど。直樹さんはまだ新公学年にしては男役が出来上がっている感じがしました。
初演は星原先輩が演じられたと知って更にびっくり。
私の注目の音花ゆりさんも出ていらっしゃったのですが、今回は見せ場が無く、残念。
若手男役の中に背が高くて、顔のパーツが真ん中に集まっているキラキラした子がいたのですが、
芹香斗亜さんだったのかしら?不明です。
 
ストーリーでいくつか。
ポーラとエドは兄弟ではないんですよね。あれはその場でポーラの父ロジェがついた嘘ですよね。
一応、エドがロジェに確認していたけど、そうなんですよね。計算が合わないから。ロジェさんは
結構、もてたのですね。
それからどうして、マリー以外みんなあそこから去っていたんだろう。やっぱり悲しい過去があるから?
二人の父親が去っているのはわかるけど、他の住人はまだいそうだよね。戦争が終わって、思い思いの
場所へ移っていったのかな。エドも結婚して、二人も子供がいると言っていたし。え、ポーラとジョルジュの
生まれ変わり?そんな話ではありません!
 
最後にショーもついていたけど・・・、あんまり覚えていない。紅さんセンターで壱城さんとみやるりが
隣で踊っていたような気がします。あとはテルとれみちゃんのデュエットダンス。
 
総合的には面白かったです。
この作品は故小原弘稔先生の第二次世界大戦レジスタンスシリーズ三部作の第一作目ということで、
第二作目、三作目が雪組花組のバウで再演される確立は何%くらいだろう?