えんため語り部屋

舞台を中心としたエンタ-テイメントについて語っています

雪組バウ・ワークショップ「灼熱の彼方」-コモドゥス編-

今日は月組東京宝塚劇場公演の千秋楽ですが、雪組バウワークショップの感想を書きます。
 
7月17日(日)14:30~ 前方中央席。前の人の頭が邪魔だった。前の方なので段差も無いし。
 
オープニングが始まって、「ワークショップなら、価格を下げて~」と感じました。
舞台の完成度がオープニングでちょっと不安になりました。みっちゃんの「記者と皇帝」と同じ値段
なんだよね。4,00円以下が妥当では?
 
さて、愚痴から入りましたが、コモドゥス(彩凪翔)は宝塚らしからぬダークな主役でした。
前評判でもう一つの「オデゥセウス編」を見ないとストーリーが分かりづらいとかありましたが、
特に問題はありませんでした。
一幕後に、コモドュスの持っている紙には何て書いてあるのか気になりましたが、
それは2幕で明らかになりましたし。他に、疑問に残るところはありますが、それは後ほど。
 
オデュセウス(彩風咲奈)が初陣に立つ前の日にアンヌ(夢華あみ)と愛を語り合ったと言ってたので、
それはオデュセウス編ではその場面があったのだろうな。
チラシに「愛」をつらぬく戦士と書いてあるので、アンヌとの愛がメインで描かれていたの
でしょうね。今回のコモドゥス編で、結局、この二人は結ばれぬままで終わったのか?とか、
オデュセウスはコモドュスに勝った後、どこに行ったんだろうとかは気になりました。
 
さて、コモドゥスが何故、暴君になったのか?が重要なのですが、それが、「オデュセウス編」
では描かれていなかったらしいです。「オデュセウス編」しか観ていない観客は置いてきぼりに
されたのか。
結局は、皇帝の本当の子供ではなかった。今まで、努力してきたのに、皇帝にほめられたことが
無かったのは、本当の子供ではなかったからなのか?とか、皇帝になるのが当然の事として、
今まで、犠牲にしてきたものもあったのに・・・、本当の息子ではないなら、皇帝になるのは
当然ではなかったのだと思ったりして、ひねくれちゃうのだ。私はコモドゥスの境遇とは違うので、
そこまで暴君になる必要は無いんじゃないの!とは思う。でも、皇帝になる道を歩んできたのに、
突然、皇帝に相応しい血筋では無かった事実を突きつけられ、戸惑い、本当の息子ではないことが
世間にばれ、皇帝になるのが当然ではなくなることに不安を抱き、だからと言って、
皇帝になる以外に生きる道を見つけられないし・・・と脳内補完しました。
 
とりあえず、理解してくれる妹:ウィビア(星乃あんり)がいてくれて良かった。一応、
コモドゥスもこの妹の存在で救われたのだ。この二人の最後のシーンは、感動してしまって、
泣いてしまった。
 
で、疑問に残るところ。皇帝に自分もオデュセウスの初陣に参加して、助けになりたいと
申し出るのですが、皇帝に却って足を引っ張ると言われてしまう。その直後に自分の出自を
知ってしまい、オデュセウスの見送りにも行かなかった。その流れがあって、アンヌに
自分の妻になるように迫り、アンヌが拒否すると、アンヌの両親を処刑し、アンヌを追放
する。このときは、やっぱりコモドゥスもやっぱりアンヌが好きだったのねと思っていました。
旅立つ前夜のオデュセウスとアンヌの愛の語り合いを、コモドゥスは見て嫉妬したのかな
とか想像しました。そして、再会後、再び、コモドゥスはアンヌに妻になるように迫ります。
一度、断られているのに、懲りない奴だなと思う。当然ながらアンヌは拒否して、島流し
この流れの後で、妹・ウィビアとコモドゥスの最後のシーンで、ウィビアはコモドゥス
本当の兄ではないと知って、コモドゥスに対する感情は、愛だと気づき、彼に「愛しています」
と言い、そしてコモドゥスも彼女の気持ちに応えて「愛している」と言うのだ。
えっと、アンヌに対する気持ちは結局、どうだったのよ・・・?たぶん、最初に妻になるように
言った時は、アンヌを愛していたんだと思う。でも、2回目のときは、常に自分をかばってくれる
ウィビアを既に愛していて、でも、兄妹という前提なので、結ばれることは無い、だから、
オデュセウスとアンヌが結ばれてしまうのも悔しくて、二人を引き裂こうとしたのか?と想像。
コモドゥスのアンヌに対する気持ちはオデュセウス編を観たら、分かるのかな?
エジプトだと姉弟で結婚もあってコモドゥスも悩まなくて良かったかも・・・。
 
彩凪翔くん、良かったよー。主役に相応しい、ビジュアルと華やかさを備えていました。
ポスターがイマイチだったので、不安でしたが、舞台上ではかっこよかったです。時々、
表情が歪むので、そこは研究してほしい。若干、老けて見えた。高卒?とか思ったけど、
中卒だったので、彩風さんとは一つ違いなんよね。若さはまだまだ保ってほしいです。
演技と歌も、今の段階では十分だったと思います。
コモドゥスの行為は許せないのだが、でも、惹かれるキャラだった。ただ良い人だけの
役よりはおいしい役だったと思う。
 
彩風さんは台詞回しが上手い。さすが、新公主演を3回こなしているだけあって、
立ち姿も堂々としている。あとはビジュアルがもう少し、良くなるといいかな。
 
この二人、背も高くて良い。衣装の色もダークなコモドゥスが白色で聡明な
オデュセウスが黒色というのも面白かった。
 
マルクス皇帝の帆風成海くんも良かった。本来、この役は上級生や専科さんが演じるのが
妥当だと思うのですが、ワークショップということで、演出の鈴木先生はあえて若手に
やらせたのかな? でも、その期待に帆風くんは応えていた。この帆風くんは最初の
印象が悪かったので(忘れ雪)、ずっと心に引っかかっている生徒さんだが、見る度に
好印象になっているので、今では応援の気持ちが大きくなっています。
 
他に「太陽の剣」のリーダーの煌羽レオくんもビジュアル良しと力強い台詞回しで
印象に残りました。あとは、コモドゥスの姉:ルッキラの透水さらささんも印象に
残るお姉さんでした。
 
幕間のプログラムで、作曲が吉田優子先生と見つけて、演出が鈴木圭で、そうか、
だから「灼熱の彼方~」と主題歌が連呼されていたのかと理解。
植田先生のやり方を相変わらず、踏襲しているんだな。
 
オープニングでは不安を覚えましたが、最終的には楽しめたので、良かったです。
彩凪翔くん、雪組の期待の男役さんです。彩風さんと切磋琢磨してレベルアップしていってほしいです。