えんため語り部屋

舞台を中心としたエンタ-テイメントについて語っています

花組バウ公演「近松・恋の道行」

5月12日(土)14:30~
5月13日(日)11:00~、14:30~
 
みわっち退団前の最後の主演公演となりました。
ちなみに2012年のバウ公演でチケットが取れたのが、
この公演とだいもん主演の公演のみでした。花組ファンなので、
花組公演が取れれば問題は無いけど、やっぱり花組の人気が
今一つなのかなとも感じてちょっと複雑です。
 
さて、みわっち×植田景子女史の組み合わせは「舞姫」再びで、
期待が高まっていました。
 
ですが、主人公の嘉平次(愛音羽麗)は、自分で自分の首を絞める
情けない人物で、自ら悲劇の主人公へと陥ってしまい、
同情できない人だった。優しい人ではあるのですが。みわっちの
最後の主演の役としては残念だった。
 
さが(実咲凛音)は嘉平次の優しさに触れて、一途に嘉平次を想う人。
下級生ながら女郎屋での姉さんという立場をきちんと演じていた。
 
五兵衛(汝鳥伶)は嘉平次の父。息子の為にお金を用意してきたシーンは
すごかったです。ジーンと来て感動しました。
さすがは汝鳥さん。日本物では欠かせない方だと思う。
 
はっちさんこと夏美ようさんはこの公演から専科。近松門左衛門
その息子・鯉助(春風美里)も父と同じ浄瑠璃作家をめざしているが、
偉大すぎる父に対して、斜に構えてしまっている。鯉助の父に対する
想いは、いくら頑張っても父に追いつけそうにない、同じ職業だから
こそ分かる父のすごさを目の当たりにして、戦意喪失している状態かな。
でも、真意は、浄瑠璃作家として父に追いつきたいのよね。
みーさんはこの公演から花組生。違和感無く、溶け込んでいました。
この役は彼女に合っていましたね。
 
みつるくん(華形ひかる)の役は元・赤穂浅野家家臣・原家に仕えた
足軽の息子・清吉で、今は行商人として、生きている。原惣衛門の妾の娘・
喜世(桜咲彩花)が女郎屋で働いているのに心痛めている。喜世が清吉に
想いをぶつけ、清吉もそれに応える。しかし、それを知った鯉助が
喜世に何かを言って(何を言ったかは忘れた、身請けだったか?)、
二人は心中するも、助かる。清吉は喜世に対して、何てことをして
しまったんだと、反省する。そんな二人にやがて救いの手が差し伸べられる。
寺坂(紫峰七海)という赤穂浪士の生き残りの男が遺族の援助に尽くしており、
喜世を見つけて、世話をしてやり、清吉と喜世が二人で生きていけるように
尽力してくれた。
この二人は、嘉平次・さがとは対照的に生き残った二人なのでした。
桜咲さんのお化粧がいまいちだった。お芝居は悪くなかったけど。
みつるくんの役は、元武士にしては弱々しい感じがした。武士らしい
強さがほしかった。
 
嘉平次には姉、弟がいて、初姫さあやちゃん。「復活」に続いて、
主人公の姉役です。姉として、後継ぎとしての嘉平次の行動に苦言を呈する。
弟の幾松(鳳真由)は目が見えず、遠慮がちであるが、兄の婚約者である
きは(華雅りりか)を密かに慕っていて、兄が女郎に入れ込んでいる事に
心を痛めている。でも目が見えない自分ではきはを幸せにはできないと、
悪魔でも兄ときはが上手くいくことを願っている。
きはは嘉平次の婚約者として、一つ屋に引き取られ、育てられてきた事も
あり、嘉平次が他の女性に心奪われた今、一つ屋にいる分けにはいかないと、
出て行こうとする。それでも家族に引き止められ、留まるが、嘉平次が
心中してからは余計に居づらいだろうなと思う。さがも嘉平次の事を
好きなのが伝わってくるので、切ない。願わくは幾松と幸せになってほしい。
 
瀬戸かずやくん演じる長作が唯一の悪役。嘉平次の長年の友人でありながら
嘉平次をだまして、陥れ、心中に追い込む人。友人と言っても昔から
嘉平次の事が嫌いだったんだと。今回の件が嘉平次を貶めるチャンスだったのだ。
この長作も悪いけど、簡単にだまされる嘉平次も間抜けなのだ。
 
曽根崎心中の主役の人形役柚香光乙羽映見。二人とも人形の動きが
できていました。柚香れーちゃんはめっちゃお化粧が映えていて
美しかった。きっと景子先生は彼女を気に入っただろうなと思う。
 
短い出番ながらも天真みちるくん演じる歌舞伎役者の女形芳沢あやめ
女形の雰囲気が出ていてとても良かった。